天然魚・野生魚・放流魚

 天然魚はその川に古来から生息している魚。野生魚は人の手で放流された個体が自然繁殖し、世代交代を繰り返している魚。放流魚は成魚・稚魚・発眼卵など、様々な形態で人の手で放流された魚です。小菅川の3種のマス類では、ヤマメ・イワナは天然・野生・放流魚が、ニジマスは自然産卵した稚魚や成魚は確認していますが、成魚の産卵は確認できていませんので放流魚です。ただし、古老から昭和40年以前、イワナは支流の玉川と棚倉沢に生息し、そのイワナも丹波川の泉水谷から尾根越しで人が持ち運んで放流したものだという話を聞きました。ちなみに現在、源流部一帯に生息しているイワナは、昭和60年代から平成の初めに数回、発眼卵放流した野生魚です。小菅川の天然のヤマメ、天然若しくは野生のイワナ、自然産卵で生まれ育ったニジマス成魚

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 マス類の象徴の一つパーマーク、ヤマメは成魚になっても残ります。小菅川の天然ヤマメでは、その数は7~12個とばらつきがみられますが、8~9個の個体が最も多いようです。

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 また、パーマークの形、背面や腹部の黒点、中央の朱線にも個体差が見られます。

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 成魚放流魚と天然・野生・稚魚若しくは発眼卵放流魚の見分けは、まずは尾鰭と胸鰭の形と色合いで、成魚放流魚ではオレンジの色合いは見られません。また、胸鰭は再生しませんので、回復力の早いニジマスでは各鰭が発達し野生魚かと思ってよくよく見たら胸鰭が無かったということがしばしばあります。こんな視点からマス類を見てみるのも一興ではないでしょうか。.

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マス類3種の稚魚

 小菅フィッシングビレッジでは、,ヤマメ、イワナ、ニジマスの3種のマス類が自然繁殖しています。おおよその産卵期はヤマメが10月、イワナが11月、ニジマスが12月です。産卵後、卵から孵化して稚魚となって泳ぎだすのは、ヤマメ3月、イワナ4月、ニジマス5月のそれぞれ初旬頃です。3種はとても良く似ていますが、それぞれに特徴もあり、見慣れてくると見分けられます。3種の稚魚の特徴と見分け方を写真で解説します。

▲ヤマメの稚魚

 背鰭と尻鰭に黒の縁取り、両鰭とも先端が白く見える。パーマークは4~6個。川岸の緩やかな流れで群れ泳いでいるが、数は多くても10匹前後のことが多い。

▲イワナの稚魚

 背鰭の基部に黒の縁取り。パーマークの小判型が細長い。体系も3種中で最も細く、体全体が黒褐色。最も特徴的なのは落ち葉や浮石の下に潜んでいるので、それらを静かに取り除かないと姿を見ることができない。

▲ニジマスの稚魚

 ヤマメの稚魚に酷似しているが、背鰭の黒の縁取りが基部だけで尻鰭にはない。パーマークの数が8個前後とヤマメより多い。産卵数が多いので、稚魚も30匹以上の群れで見られることが多い。また、3cm前後の大きさでも盛んに流れの中へ泳ぎだしていく。

▲右上がヤマメ、左側の3匹はイワナ

▲上川2匹がヤマメ、下側の2匹はニジマス